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アイオロス×にょたミロ

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「いやぁ、すまないなミロ」
「構わないさ」


長らく主不在だった人馬宮は荒れ放題であった。
神殿内はそれでも隣宮のミロやこの宮の主の弟であるアイオリアが時折掃除をしていたからそれなりの美化が保たれていたのだったが流石に居住スペースというプライベートにまで入るのはためらわれ13年という期間の間にすっかりほこりまみれとなっていたのだ。
おおよそ人が住める環境ではないそこに他の黄金聖闘士と共に蘇ったアイオロスに課せられた最初に任務は「自宮の清掃」であった。
そしてその清掃にミロは応援に駆けつけたのだ。

「アイオリアも手伝いたいと言っていたのだがアテナの護衛の任務が入ってしまったようだ」

雑巾で窓ガラスを拭きながらミロは朝の事を思い出しながら少しだけ口の端を持ち上げた。
アイオロスが生き返ってからアイオリアは本当に嬉しそうだった。
たった一人の肉親の汚名が雪がれ、また出会えることが出来たのだからその喜びは相当なものだろうな…と、当に家族を亡くしてしまったミロでも容易に想像が付いた。
ただ、アイオリアは少し過保護な感も否めない。
任務の出掛けに「兄さんを頼むな、ミロ」と何度も何度も頼んできたのは流石に…と。
13年間のブランクがあるといってもアイオロスはサガに並ぶ最強の黄金聖闘士だ。
そう過保護になることもないだろうに今のアイオリアはまるで13年前のアイオロスのようで、なんだか立場が逆転したような感覚がミロは面白くてたまらなかった。

「どうしたんだ、ミロ?」

小首をかしげ床を雑巾で拭いていたアイオロスに問われミロは体ごとアイオロスをむくと「アイオリアの事をな、考えてた」と雑巾を窓のさんに置き、目を細めた。
真っ白だった雑巾はいまや真っ黒に汚れている。
それだけでもこの部屋の主不在の時間の長さを十分に感じ取れた。

「なんだか昔と逆だな…ってさ。昔は俺やアイオリアがアイオロスにいっぱい心配かけたり心配されたりしてたのに今はアイオリアがあなたの心配をしてる。今日だって出掛けに何十回「兄さんを頼む」と言われたことか」

まったく耳にたこができるとはこのことだな、と苦笑うミロにアイオロスも困った風に笑うと雑巾を床に置いたまま立ち上がりミロの隣に立った。

「俺は随分とアイオリアに苦労を強いてきたが…まだあいつに苦労をさせているようだな」
「気にすることはないさ。アイオリアだってあなたの心配をすることが出来て嬉しいのだと思うよ。それに、俺もあなたのために何かできるのが嬉しいし」

照れくさそうに笑い、ミロは少しだけアイオロスの肩を小突いてみた。
小さい頃、見上げるように大きかったアイオロスは生き返っ後もやっぱり見上げるように大きい。
男として育てられてきたけれどやはり女である自分では彼の身長には遠く及ばない。
ただ、気のせいかもしれないが昔よりも距離は縮まった気はするのだ。
昔はぐっといっぱい手を伸ばさないと届かなかったアイオロスが今はちょっと腕を動かせば届く距離に居る。
そんな気が…。

「ミロ」
「なんだ?」

名を呼ばれ、ミロは反射的にアイオロスの方へ顔を向けた。
弟のアイオリアに良く似た顔。
だけどアイオロスの方がいささか精悍な顔立ちだ。

「昔の約束はまだ有効だろうか?」
「約束…?」

問いかけに先ほどのアイオロスよろしく小首をかしげるミロだが考えても考えてもその「約束」が思い出せず、困ったように唸り声を上げた。

「すまない、アイオロス。全く思い出せない」

申し訳ないと眉を八の字に下げるミロにアイオロスは「13年も経っていたら仕方ないさ」と笑いながら、そっとミロの前に跪く。
驚いたのはミロだ。
いくら同じ黄金聖闘士であるとはいえ、アイオロスは自分よりも年上で憧れで。
その上、自分には「約束」を忘れていたという負い目だってあるのになんだってアイオロスに跪かれねばならないのか…!
慌てて「アイオロス、やめてくれ」とミロはアイオロスに立ち上がるよう手を伸ばすが、しかしその腕をあっさりとアイオロスはとるとそれを自分の額に押し当てた。
ちらりと寄せられた真剣な眼差しに思わず胸の辺りがどきりと高鳴る。

「大きくなったら俺のお嫁さんになってくれるって約束…まだ有効だろうか?」
「へ、え…、お、お嫁さん!?」

思いもよらない言葉にミロは目を丸め、次の瞬間には顔を真っ赤に染め上げた。
そんな約束をした覚えはこれっぽっちもない。みじんもない。
けれどアイオロスが嘘をつくとは思えないし、当時の自分だったらそんな約束をしてもおかしくない気もミロはしたのだ。
あの頃、アイオロスは憧れで大好きな人で、それは今でも同じで…。

「アイオロス、でも、俺は」
「ああ。そうか…13年も過ぎたのだからミロにも好きな人が他に出来ても当たり前だな」
「す、好きな人なんていないよ。けど、」

元より女を捨てて男として生きてゆくつもりだったから恋だ愛だとは無縁の13年間だった。
だから、そんな可愛げ野内無骨な女よりアイオロスにはもっとふさわしい人が居ると思うのだ。
もっと可愛くて守りがいのある。

「俺みたいな可愛くないやつを折角生き返ったのに捕まえることはないだろう?そんな昔の約束にあなたこそ囚われる必要は…」

ないのだ、と続けかけた言葉はアイオロスの胸の中に消えた。
大きくて広くて暖かな胸。
小さい頃はぎゅうと抱きしめられるとひどく安心したのに今は心臓が耳の横にあるんじゃないかってくらいにやかましくどくどくと脈打って落ち着かない。

「好きだよ、ミロ。格好悪く昔の約束を持ち出すくらいには…」

頭上から降ってくる笑い声にミロは耳まで真っ赤に染め、それを隠すようにアイオロスの胸に自分の顔をぐりぐりと押し付けた。
13年の間に大人になって、アイオロスに近づいた、気がしていた。
でもきっとこれからもだけどずっとアイオロスには自分は勝てっこないのだろう。
いつまでもどこまでも自分より一枚上手のこの人には。
それが悔しくないといえば嘘になるが、それが嬉しくてくすぐったくてたまらない。

「どうかな…ミロ。俺のお嫁さんになってくれるかな?」

額の辺りに押し付けられた柔らかな感触にミロは数秒目を瞬かせたがすぐに我に返るとアイオロスを見上げ、口元を歪めた。
「アイオロスの場合、返事は一つしか確証してない気がするけど」
「そうでもないの意見は尊重するつもりだけれど、振られたらどうしょうともうさっきから緊張しっぱなしだ」

いたずらめいた輝きを瞳に宿し笑うアイオロスのそれは13年前とまったく変っては居なかった。
憧れていた、大好きな人のその笑顔。
ミロはそっと目を閉じると少し伸び上がりアイオロスの顎に触れるように口付けた。

「返事は掃除が終わったら教えてあげる」

アイオロスよろしく、いたずらめいた笑みを浮かべるミロにアイオロスは照れくさそうな笑みを浮かべると「了解」と大きく頷くのだった。
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