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双子誕生日小説第一弾、カノミロ前提カノンとムウのお話。
ミロは出ません。



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「海龍は蠍座とは相当に縁が深いようですね…」


涼しげな表情でのみを手にした聖衣の修復師であり、黄金の羊を守護にもつ男の言葉をカノンは神妙な面持ちで聞いていました。



事の発端はつい先日の事。
初夏と言うには少し早く、晩春というには少し遅い時期。
聖戦が終わってからこっち、双子座の黄金聖闘士とそして海龍の名を両方いただくことになったカノンは聖域と海底神殿を行ったりきたりしていたのだがふと、鱗衣の肩のパーツが破損していることに気がついたのだ。
ぱっと見では分からない位置であったし業務に支障をきたすほどではないのだが一時になったらどうにも落ち着かない。
そこでカノンは聖衣も鱗衣も似たようなものだろうとムウのところにカノンは足を運んだのだ。
最初こそ「私は聖衣の修復師ですよ?」と少し嫌そうな顔をしていたムウだったが鱗衣を目の前に出されるとその表情は少し和らいだ。
いや、和らいだというより輝いたという表現が正しいかもしれない。
聖衣の修復師としてはあまりなじみのない鱗衣は興味の対象になったのだろう。
「この程度なら…できるかもしれませんね」
いそいそと修復用の工具を取り出すムウにカノンは少しだけ苦笑し、ムウから少し離れた椅子に腰をおろし修復を見守ることにしたのだった。
「分かるか?」
椅子から立ち上がったカノンはムウに、いや鱗衣に近づくとそっとそれを撫で目を細めた。
海皇を欺くために身に纏ったその時は気づかなかったがこの鱗衣には先代の記憶、とでもいうのだろうか多くの悔恨の念とそして凄まじい熱の記憶が残っていた。
そしてその熱は悪の心しか持たなかったあの時代からカノンの心の片隅にしこりを残し、その正体がわかったのはここ、聖域に来てからの事だったのだ。
「いつの時代も「海龍」は「蠍」に尻拭いされているようですね」
揶揄するムウの言葉にカノンは「そうだな」と漏らし目を細めると右手の薬指にはまった指輪をそっと撫でた。
金色に輝く指輪。
それは去年の誕生日、今生の蠍座の彼の誕生日に揃いでつけたものである。もちろん購入したのはカノンであり、その指輪はもちろんファッションではなく誓いの指輪である。
共に生きようと誓った愛の証。
聖闘士としてあるまじき誓いかもしれないが、この小さな誓いの印が傍にあるだけでカノンは心が落ち着くような気がするのだ。
「あなたは、悔いのないように精精頑張ってくださいよ」
カン、とさえかえるのみの音にカノンははっと顔を上げた。
少々考えに耽りすぎていたらしい。
ひびの入っていた鱗衣の肩パーツは傷あと一つ残さず綺麗に修復されていた。
さすがあのシオンの弟子である。見事な腕前にカノンは思わず舌を巻く。
「私はミロのように甘くはありません。あなたやサガの事をまだ100%許しているわけではない」
「分かってるさ」
アテナのために命をかけたとて犯した罪が消えるわけではないのはカノンが誰よりも一番承知だ。
罪を購うために身を粉にし、それこそ死に物狂いで働こうと思った時期もあったが今ではその考えも少し改めている。
無理して倒れるまで贖罪に励むでなく、自分の精一杯で罪を購う。
これは情けない話だが8つも年下のミロに諭された事である。
それを思うと本当に自分はミロにずっと長いことおんぶにだっこ状態だなと自分でも呆れてしまう。
「それでも、あなたを信じてみようと思えたのはひとえにミロがあなたを受け入れたからです。それをゆめゆめ忘れないように。もしも、あなたを信じ、受け入れてくれたミロを悲しませるようなことがあれば許しませんからね?」
「いらぬ心配だ。その点についてはな」
口元に不適な笑みを浮かべ、カノンは修復の終わった鱗衣を抱え上げると「助かった」とムウに小さく頭を下げる。
その動作に少しばかりムウは驚いた。
カノンという男が自分にそん殊勝な態度を見せるのは少し、意外だったのだ。
ただ、考えればカノンはあのミロに絆され改心したのだ。
少しばかり性格が変わったとしてもそれは道理だろう。
あの金色の蠍はどうも悪者に好かれやすく、また悪者を改心させるのがうまいようだから。
そんなことを思いながらムウは口元にゆるりと弧描くと、踵を返すカノンの背に「そういえば」と声を掛けた。
「もうすぐあなたの誕生日でしたね。正式には、あなたたち、ですが」
「ああ、そうだな」
誕生日というものは誰もが持っていて毎年訪れるものだがこの聖域で誰かの誕生日を盛大に祝うという習慣が出来たのはつい最近の事だ。
祝われなれていないし、正直この年でお祝いなどとぞっとしなくもないが、と軽く肩を竦めて見せながら言うカノンにムウは「でしょうね」と苦笑をもらして一言続けた。
「まあ、楽しみにしていてくださいよ」
その言葉にカノンは噴出すと「それこそぞっとしないが、まあ楽しみにしている」と今度こそ白羊宮を出るのだった。
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