つれづれとミロ受けなお話ポチポチ書いてます。
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じりじりと太陽に光は容赦なく肌を焼くし、地面から沸き立つ熱気がまた下から蒸してくれるし。
俺は鉄板の上の肉か何かか!なんてつらつらと思いながらカルディアは聖域の長い階段を自宮に向かい歩いていた。
腕に抱え込んだ買い物袋の中には今旬である桃がどっさりと入っている。
この間アスミタの所に宮前に落ちていた小鳥のヒナを木の上の巣に戻してやった事へのお礼だと先ほど処女宮を通りかかるときにアスミタに押し付けられたものだ。
「別にアスミタのためにしたわけじゃねえんだけどな…ま、もーけた」
一番好きな果実は林檎だけれど桃も充分好物だ。
早く自宮に戻って剥いて食べようと少し足を速めるカルディアはふと、天秤宮の入り口あたりに見知った後姿を見て早めた足を駆け足へと変えるのだった。
「シジフォス!」
「! カルディア」
立ち止まり振り替えるのはこの天秤宮より更に上、自宮である天蠍宮の一つ上の人馬宮の主であるシジフォスだ。
聖衣を纏わず額に汗を浮かべている様子から察するに訓練場からの帰りらしい。
「どこをほっつきあるいていたんだ?」と何時もの小言を口にするシジフォスのそれを軽く聞き流しながらカルディアはにかりと笑いシジフォスの隣にたった。
まだまだ見上げるほどにシジフォスの背は高い。
「ちょっとな。あ、いい物アスミタに貰ったんだ。シジフォスにもやろうか?」
「いい物…? ああ、桃か。美味しそうだな」
袋の中を覗き込むシジフォスはそういって目を細める。
そんな表情に思わず胸の辺りがどきりとうずいたのはきっと気のせいだ。
「剥かせてやってもいいぜ、シジフォス」
「調子の良い事を言って。俺に剥かせて自分がたらふく食べるつもりだろう?」
「へへ~。その代わりすこーしお裾分けしてやるからいいだろ?」
再び歩き出し天秤宮へ足を踏み入れるシジフォスに並びカルディアも宮内へと入る。
外よりは少し涼しい。けれどやっぱり蒸し暑い。
桃の入った袋を左腕に抱えなおし、右腕で額に浮かぶ汗を拭うカルディアはふと、隣を歩くシジフォスの歩くたびに揺れる左腕を視界に捉えた。
女で、まだ子供の自分とは違う大きくてごついシジフォスの手。
弓矢を使うから指には変なたこが出来てるし、節もごつごつしてて綺麗ってわけじゃないけど、その手がカルディアは好きだと思っていた。
決して口にはしないがその手で撫でられると安心するし、手を繋ぐとその大きな手で包まれて心の辺りがほかほかとするし…
そんなことを思っていたらつい、うっかりシジフォスの手に自分の手を伸ばしていたらしい。
慌てて引っ込めようとしたその手はしかし、シジフォスの手にぶつかり気まずくなってしまった。
「あ、ごめん」
「……カルディア」
「なん…、だよ、暑いだろ」
謝ってもう一度引っ込めようとした腕をシジフォスは逃すことなく握りかえしてくる。
ぎゅっと、包み込むように。手の中に収めて、それで指を絡めてきて…
照れくさくてつい心にもないことを言っても、シジフォスは解放する素振りすら見せはしない。
口元にうっすら笑みさえ浮かべているように見えるのは気のせいではないだろう。
「なに…笑ってんだよ」
「いや。お前は可愛いなと思って」
「そうやって、いつも子ども扱いして!」
「ならば大人扱いがよかったか?」
「!」
ふふ、と笑みを浮かべこちらを振り返るシジフォスに「おまえ、暑さに頭やられたろ!」とカルディアは心の中で叫ぶ。
でもそれを口にしなかったのは、照れくさすぎてたまらなくてうまく口が動かなかったからで。
つまるところ、そんなシジフォスのメロメロになってしまったからで…。
「桃、剥けよ!全部!綺麗に」
「ああ」
結んだ手を振りながら、歩くカルディアの顔は外に居るときよりももっともっと赤く染まっているのだった。
童虎「ついでにカルディアも剥いてしまうというわけか…」
シオン「童虎…オヤジ臭いぞ」
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