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カノミロ(ショタ)でただの雰囲気SS設定的な。
世界が崩壊してます。



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ぱしゃぱしゃと踝あたりまで水に浸かった瓦礫の中を一人の少年が歩いていた。
青い空と澄み切った水面。
その水面に映った空の青が少年が歩を進めるたびに作られる波紋でゆらゆらと揺れていた。
遠く、深い水の中では魚の泳ぐ影が揺れている。
警戒心のないあれらを捕まえるのはきっと楽だろうが、今日は荷物が多いし濡らしたくはない。やめにしておこう。少年は視線を進行方向へと向けるととめていた足を再び動かし始めた。
跳ねるように歩く彼の表情は朗らかで柔らかい。
蜂蜜のような淡い金の髪を風にたなびかせ、薄桃の頬を持つ彼の雰囲気は瓦礫の街の中ではあえかなで、そして然りとした色彩を放っていた。



世界が終わり、星が終わった。
遠い昔の「お話」の産物なのだ…と言うことくらいしかミロはこの現状を知らない。
目覚めて初めて見た空の色は青く、どこまでも美しかった。
だからミロには決してこの世界が「終わった」後の世界だとは思えなかったものだ。
ただ、それが本当に現実なのだと気づかされたのは…


「カノン!」
「ミロ…おかえり」

錆びた螺旋階段を上った先、小さなラジオ塔から降りてきた青年に手を振ればカノンと呼ばれた青年もにこりと笑い返し手を振り替えしてくれた。
この世界に自分と、そしてカノン二人きりしか残されていないという事実を知ったとき、ミロはこの世界のことを受け入れた。

殆どが水の底に沈んでしまった街の中、目を覚ましたときに目の前にいたのが「カノン」だった。
「ずっとお前を待ってたんだ」とやさしい笑みを浮かべて言ってくれた彼のことをミロはあまり知らない。
けれど今までずっとミロは彼を信頼し、彼を信じ生きてきた。
理由などない。
ただそれを上げるとすれば彼の「笑顔」が信用するに足りると思ったから、だ。



「固形燃料…バッテリー、とりあえずこれだけあれば一月足りたよね?」
「ああ、十分だ」
「それからこっちは…錆び止め。こっちのは粗悪品じゃないと思う、よ」

たぶん。続けながら少年は背中のリュックサックから次々に袋を取り出しそれをカノンへと渡す。
それを受け取りながら「錆び止めは助かる。この間のはあまり俺にはあってなかったようでな」と、カノンは苦笑顔でズボンのすそをちらりと上げて見せた。
ズボンの下で鈍色で輝くそれは金属でできた義足だった。
彼の右足…そして左腕は「人」のそれではない。
ミロが目覚めるずっと前に失ってしまい、機械にしてしまったのだとカノンは言っていたがやはり、ミロはそのことについてもそれ以上詳しくは知らなかった。
聞くつもりもなかった。


「屋上のトマト…今度こそうまく育つといいんだけどなァ」
「そうだな」

水の中から地上へあがり、ミロは袋を担ぐカノンの後ろを歩き螺旋階段を上ってゆく。
くるくるくるくる…錆びた階段を上る上る。
かんかんと音を立てながら階段を上り見上げる空はどこまでも青く、雲ひとつ浮かんではいなかった。


「世界は滅びました。けれど今日も世界は青いのです」
「ん?」
「ん…なーんにも」


「終わりの世界」の小さなラジオ塔。
そこは「終わりの世界」の中の小さな「ハジマリの世界」












聖戦により世界が滅びようとした際、アテナが最期の力でなんとか残した世界のお話。
多くの人、生き物が失われ残った者は皆、月へと移住してしまった。
星を再生する「守人」として残されたミロ。
カノンは双子の兄の業がこの世界の破滅を招いたのだと罪を感じ、贖罪のため…そして聖戦のさなかに恋仲となったミロに再び会いたいがために地球に残りミロの目覚めを待っていた。
ミロには聖戦のさなかの記憶はなく、しかしカノンへの思慕は感覚として残っている。













ぷかりとなにやら黒いものが浮かんでいた。
猫だろうか?犬だろうか?
何か使えるものはないだろうかと新しい狩場として瓦礫の駅ビル内を探検していたミロは水の上を流れてゆく木の板の上に伸びたままのそれをつかみ上げると思い切り顔をしかめるのだった。

「……ねずみ?」




「ふぁ、ふぃふぁ!ふぇふぇふふぁ!」
「……ねずみだ」
「ちがうと!言っている!俺は竜だ!翼竜だ!」
「いいから…物食うかしゃべるかどちらかにしろ」

どうやら気を失っているらしい生物を連れ、ラジオ塔へと戻ったミロをカノンは最初怪訝な顔で出迎えそして腕の中の生き物をつまみあげると泡まみれのたらいの中へと投げ込んだ。
カノンは意外と綺麗好きだ。

「よもや…ラダマンティス。貴様もここに残っていたとはな…」
「そういう貴様らもな…もうこの星には用はなかろう?」
「……お前には関係ない」

泥にまみれ放題だったラダマンティスをミロと二人がかりで洗い、水が透明になったのは彼がここにつれてこられてから30分ほど後のことだ。
どれほどお前は汚いところにいたのだ?と腹ペコ翼竜に固形食糧を差し出しながら問うカノンにラダマンティスはぱたぱたと数度羽を羽ばたかせてから「あの日からずっと地下暮らしだこっちは」とまずそうな顔で固形食糧を飲み込み言うのだった。

「地下って…もしかして地下には俺たち以外にも人間とか、ラダマンティスみたいなねず…竜もいるのか?」
「……俺もれっきとした人間だ、今はこんななりをしているが」
「?」

どういうことなんだ?と首をカノンに向けるミロにカノンは「そういう種族なんだよ」と小さく笑みを返しラダマンティスの額の辺りを指先ではじいた。
きゅう、やらぎゅうやら形容しがたい音を上げて机の上にラダマンティスは倒れこむ。
大きさ約30センチほどの翼竜。
一見するとおもちゃのようで、なるほどミロが言う「ねずみ」というのもわからないでもない。
ただ、これが彼のかりそめの姿ということは彼を洗っている最中になんどとなく本人に訴えられたので耳にたこ状態である。
お腹が満ちれば元に戻る、と。

「大丈夫か?」

あわてていすを立ち上がりラダマンティスの羽を持ち上げたりおろしたりするミロはそんな彼を心配するほうに気をとられ今の言葉はすっぱりと流してくれたようだ。
ほっと胸を撫でおろしカノンは少しだけ目を細めた。

これもアテナの御業…なのだろうか。
聖戦のさなか聖闘士と冥闘士として敵対した自分と彼。
それがこんな「終わりの世界」で片や不老の機械人間。片や小さな竜に変身してしまうびっくり人間として再会するとは。
神様というのはえてして奇妙なことをするのがお好きなようだ。
まあ、そういう遊び心を持ち合わせていなければ自分などがこの世界で生かされるわけないのだろうが…。

「カノン、ラダマンティス、まだお腹すいてるって」
「そうか…ああ、じゃあこれを食わせておくか」
「これって…あ、でもそれ」

軽く袖を引かれ、視線を下げればミロが困った風な顔でラダマンティスの羽を撫でている。
ぐぅぅと鳴り響く奇妙な音は伸びた音ではなく腹の音だったのか。
なんともあきれたとカノンはかごの中からまだ少し青いトマトの実を取り出すとそれをラダマンティスの口の中に無遠慮に放り込む。
次の瞬間ラダマンティスは…悶絶して再び机の上に倒れこんだ。
どうやら今回のトマトもまた失敗らしい。


「肥料、変えてみようか。あと水の回数」
「う…うん、って、ラダマンティス大丈夫…なのか?」
「大丈夫。そいつなら死なんよ」
「そっか…!カノンが言うならきっとそうだよね」


心配げだったミロの表情がカノンの一言で安堵のものへとかわり、朗らかな笑みへと変わった。
その様子を悶絶しながらラダマンティスは恨みがましそうに見つめるのだった。


「大丈夫なわけ、ねえだろ」










聖戦が終わり封印されたはずの冥闘士達。
しかし封印が緩んだのか、はたまたアテナの御業なのか幾人かの冥闘士達は復活を遂げた。
その中でラダマンティスは小さな翼竜に変身する事のできるびっくり人間(カノン談)として現世に復活。
地上を目指し土を掘って出てきたところで腹が減りすぎて倒れて流されているところをミロに拾われる。
翼竜時の定位置はミロの頭の上か肩の上。
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