つれづれとミロ受けなお話ポチポチ書いてます。
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「どうしてもあなたじゃないとだめなんです!」とアイザックら海将軍達に泣きつかれたのがつい半月前のことだ。
それから今日までほぼ無休、睡眠時間は平均3時間…徹夜なんてざら。
潮の調整やら水害の復興やら…あれこれと仕事をこなしていくうちにすっかりと俺は、ミロ不足に陥っていた。
「今日は…寝る、俺は寝るからな」
気合いを入れるために顔を洗いに行った時、目の下にくっきりと浮かぶ隈と顎やら口周りに生えた無精ひげがなんとも涙を誘ったのを思い出しながら、俺は今しがた整理し終えた報告書の山をソレントの机の上に重ね、そう声を張り上げた。
いや、自分的には普通の声色で言ったつもりだったのだが、あまりに休息がとれず切羽詰っていたのだろう。
こちらもまた隈が凄まじいソレントはその発言に「明日はみんな休みにする予定だから問題ない」と頷き、そして「とりあえずシードラゴン、お前はまずひげをそったほうがいい」と報告書を自分に手繰り寄せつつ言うのだった。
そんなに酷い顔をしていたか…?
自室に戻りカノンはベッドの上に大の字に横たわりながら先ほどのソレントの言葉を脳内で反芻した。
そりゃあ、無精ひげなんてだらしないし、こんな姿は絶対愛しいミロには見せられない。
だが、しかし、だ。
そんな最低限の身だしなみをする暇さえ与えず仕事を大量に押し付けてきたのはほかならぬソレント自身である。(そりゃあこちらにはいろいろと罪悪感だとか責任感だとかがあって仕事を断るわけにはいかないが…それにしてもこの量は酷すぎると思うのだ。こちらの年ももう少し考慮…とは流石の俺も口にするのはプライドもあってできなかった)
それにたった一日の休みではミロに会いに行く暇すらないのだから今すぐに身だしなみを整える必要性も感じない。
「…起きたらで、いいだろ」
ヒュプノスの急襲。
三日徹夜の身でその攻撃に抗えるものがあればそれはたぶん人を超越したなにかだ。
『風呂も…起きたら…で、いっか』
ぼんやりと思考もだんだん定まらなくなってくる。
水を吸った綿のように重い体をベッドに深く沈ませながら、俺は誘われるままに泥沼のような眠りの底に落ちていった。
ずぶずぶと全身を飲み込んでいくかのような感覚。
だがそれがひたすらに心地良い。
深い眠りの中、俺がその奥深くの泥沼から意識を引き上げたのは不意に鼻先を嗅いだ覚えのある香りが掠めたからだった。
覚え、というレベルではない。この匂いはずっと恋しく思っていた懐かしく愛おしい香りだ。
まさか恋しすぎて幻覚ならぬ幻匂までするようになったか…?
重たい瞼をうっすらと開き、傍に感じるにおいの元へと視線を辿った俺は、その次の瞬間目に入ったそれに「ああ、まだここは夢の中か」と思うのだった。
「おはよう、カノン」
微笑み、そして伸ばした手で優しく頭を撫でてきたのは今もっとも会いたい人、だった。
幼さを残した端正な顔立ちに浮かぶ笑顔は愛らしくて、そんな笑みを向けられるだけでなんだか自分が特別になった気分になって口元が緩んでしまう。
「ミロ…」
同じく、彼に手を伸ばし自分の胸の中に彼を引き入れようとして…しかし俺は寸前で手を止めた。
そういえばもう三日ほどシャワーを浴びてないし髭もそっていない。
いくら夢の中とはいえこの格好でミロを抱きしめるのはいささか…。
逡巡する俺に、目の前のミロは少し首を傾げて見せたがなにか思いついたのか小さく息を吐き捨ててから自らこちらの胸に飛び込んできた。
そして胸に顔を埋め大きく息を吸う。
「ミロ…やめとけ臭いぞ。シャワーも浴びてないのだから」
ここのところの仕事がデスクワークばかりだったとはいえ、それでも三日入っていない体は臭いに決まっている。
慌ててミロの顔を引き離せばミロはきょとんと目を丸めた後再び破顔していうのだった。「カノンの匂いがする」と。
「ば、変なことを言うもんじゃない。どうせ臭いってことだろう?」
思い切り直球でストライクを突いてくる発言に多少とまどいを隠せなかったが、自虐を込めた風にそう言えばミロは首を横に降った。
「カノンの匂いはカノンの匂いだ。すごく…どきどきする匂い、かな?」
どこか気恥ずかしそうにそういって「結構髭、似合ってるぞ」笑うミロに…我慢が出来ようはずもなかった。
「っ、カノン?」
ミロの体をベッドに引きずり込み、抵抗も間に合わなかったミロを自分の下に組み敷いてから俺はその唇にむしゃぶりついた。
「っ、んー…!」
非難を訴えるような悲鳴は一切無視で、思う存分にミロの口内を荒らせばますます自分の中の欲が煽られてゆくような気がする。
足りない…ああ、なんだってこう自分は欲深いのだろう。
混ざり合う唾液。
いやらしい水音にミロの耳が羞恥で赤く染まってゆくのが可愛くてたまらない。
何も知らない、無垢だったミロに淫らなことを植えつけてゆくのはなんとも背徳的であり、そしてなんとも甘美な愉悦であった。
彼を自分なしで生きていけない体にしてしまいたい。
自分のことを思い出すだけで体が疼き、居てもたってもいられないように…
でも、そんなことは決して口にはできなかった。
そのくらいの分別は持ち合わせているつもりだったから。
だが、これは夢なのだ。
自分の欲望を抑える必要などない。
「ミロ」
唇を解放し、荒々しい呼気をくり返すミロの濡れた唇を指の腹でなぞり上げる。
蕩けた瞳がゆっくりとこちらを向いた。
俺が大好きな空色の瞳。
赤く染まった目元がミロの欲にも火がついたことをありありとこちらへと知らせてくれる。
蠍座が本来司るのは「死」そして「性」である。
だからなのかミロも一度乱れるととことん乱れてくれた。
ただ、それを制そうとする理性がなかなかに強敵でそこをどう打ち崩すかが毎度の課題となるわけ、だが。
「ふふ…今日はやけに素直に堕ちてくれるのだな」
ぼんやりとこちらを見つめたままのミロへ唇をにっと歪め言えば、彼は熱い吐息を吐き捨て「だって…」と肩をふるりと震わせる。
「なんか、いつもと…カノン、違うみたいだから」
伸ばされたミロの手が俺の顎を撫でる。
ああ、そういえば無精ひげを生やしたままだった。
夢の中なのだから気を利かせて剃ってくれればいいものをと、思ったがミロが意外にもひげの感触を気に入っている様子なので俺は口元だけでなく目許も緩めてしまう。
「なんだ、お前ひげフェチだったのか?」
「そうじゃ、ないけど…なんか、雄って感じで…」
そう言葉を続けながらミロの指先は小さく震え始めていた。
過ぎる興奮で体がキャパシティオーバーになりつつあるのかもしれない。
試しにその手をとって指先を甘く食んでやれば大げさにミロの肩は跳ね上がった。
「ふぅん…ミロはこんなのに燃えるんだ?」
「っ…や、ぁ」
ミロの顎を指で掬い上げ晒された白い首に噛み付く。
その際首筋にじょりじょりとわざと髭を押し付けてみればいつもよりミロの体が大げさに反応した風に見えた。
「無理やりされてる風で興奮する?」
「ちっ…が…」
言葉こそ簡潔で、そして非難が篭ったものだったが、彷徨う視線に戸惑いがあることがうかがい知れる。
「ミロは結構…意地悪されるの好きだもんな」
「そんなこと、ないっ…」
「そうか?」
ミロが逃げられないように彼の腹の上に跨り、俺は着ていたシャツを脱ぎ捨てる。
ぺろりと舌で唇を舐めながらミロを見下ろせばミロの顔はすぐさまそらされた。
それを強引に引き戻し、耳元にそっと俺は身をかがめて囁く。
「言えよ…俺に意地悪されたいって。そしたらいっぱい弄っていっぱいイかせて泣かせてやるぜ?」
こくりとミロの喉が動くのが分かった。
あと、一押しだ。
後一押しでミロは完全に…堕ちる。
ぬるりと唾液を含ませた舌でミロの耳朶を舐め上げ、甘く食みながら「なあ」ともう一度呼んで、俺はミロの顔を覗き込む。
真一文字に引き結ばれた唇は快楽に震えていた。
「なあ、言えって。俺にいっぱい触って欲しいって。いっぱい弄られてやらしいって言われて、俺なしで居られない体にして欲しいって言えよ。お前が望めば俺はなんだってしてやるから」
現実では思っていても口に出来なかった言葉を、夢だからままよと俺はただただ夢中で述べていた。
求められたい。
ミロに。
俺なしじゃミロが生きてゆけないように、ミロなしで俺も生きていけなくなるようにしてほしい。
それは精神的にも、そして肉体的にも。
聖闘士としてあるまじき愚かな願いだとは重々承知だ。
だから言えない。
現実では。
夢だから言えるのだ。
この、欲望に塗れた本心を。
「ミロ」
頼むから言ってくれ、と訴えるようにミロの額に口付ける。
たった一言でいい。
欲しいと言ってくれればそれでいいのだ、と。
そうして待つこと数秒。数度目を瞬いたミロはどこか泣きそうな困ったような顔で言うのだった。
「そんなの…いつも俺だって思ってるよ…。カノンにいっぱい、愛されて、カノンなしじゃいられなくなりたい、って」
最後の理性はその言葉で簡単に崩落した。
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