つれづれとミロ受けなお話ポチポチ書いてます。
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「カノン…」
真夜中の寝室。
窓から差し込む光が部屋の中を淡く照らす中、カノンはただただミロに無言のままに抱きついていた。
そんな彼の行動をミロは黙って受け入れ、何をするでもなく…その背を優しく撫でるでもなく、だまって抱きつかれるままにされていた。
そんな風に、カノンがミロを抱きしめることは珍しい事ではなかった。
彼がどれほど多くの重い過去を持っているか…詳しくは解らないがミロも分かっている。
けれどそれを打ち明けてくれ、などとミロは彼に言うことは出来なかった。
「カノン」
カノンはミロにとって命の恩人だ。
同時に、この世界で最も大切な人である。
それでも、ミロには彼の過去に踏み込むことは躊躇われたのだ。
彼をその苦しみから解放してあげたいけれど…その術をきっと自分は持ち合わせないから。
「カノン」
どうしてこう、己は無力なのだとミロは思う。
じわりと熱く濡れてゆく肩口の温度を感じながらミロは思う。
「カノン」
無意識に、ミロの瞳から熱い滴がつぅと一筋流れ落ちてゆく。
何もできないけれど…彼が望むなら彼が立って歩けるまで支え続けてあげたい。
彼が休める場所で居てあげたい。
彼に必要とされなくなる…その日まで。
「愛してる」
口にした言葉は、小さく掠れて音にはならなかった。
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