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ハロウィンはミロが12宮を走りまわりましたが今度はカノンが走り回ります。



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「あの子へのプレゼント?」

薔薇の香り漂う宮の美しい主は男の質問に綺麗な眉を思い切りひそめ、問い返しました。





一年も残すところあと二か月。
新しくジェミニの聖闘士として迎えられたカノンは大いに悩んでいた。
ハロウィンも過ぎ11月に入り、もう幾日かが経とうとしている。
カノンの悩みはかれこれそれよりひと月も前から続いていたのだが、一向にカノンの悩みは一解決する兆しを見せることはなかったのである。
だってそれはカノンにとってなにより大切な人に関する悩みだったから。
誰にもなかなか打ち明けることが出来ず悶々と11月。
とうとう意を決し…というか、覚悟を決めカノンが向かった先は十二宮でもっとも上位に位置する宮…双魚宮だった。

「今更そんなことを悩んでいるのかい? もう11月にも入って?」

この宮の主であるアフロディーテはカノンの大切な人を幼い頃から猫かわいがりし、そして慈しんでいた…とは実の兄やら隣宮の住人の言だ。
実際、自分と彼が付き合い始めた頃なんて顔を合わせるだけでカノンの顔を殺気立った視線で睨みつけるほど毛嫌いされていたほどだから。
一方的にあまり好かれていないのが分かっていながら、それでもカノンがここに来たのはひとえに、その大切な彼のために他ならない。
それほどに彼を大切にしているアフロディーテならばきっと彼が「望むもの」も分かるだろうと。
しかしアフロディーテはカノンの質問を耳にするなりその表情を歪めるだけ、だった。

「私より君の方がよほど今の彼を分かっているんじゃないのか?」
「それが…分からないからこうして聞きに来ているのだろう!」
「ふぅん…それが人に物を聞く人間の態度かな?」
「ぐっ…もうしわけ、ない」

綺麗な花には毒がある…とは、まさに彼に相応しい言葉だと心底思う。
彼が用いる技然り、平然と吐き捨てられる毒にカノンはぐっと口から出かける反論の言葉を飲み込み、ただ拳を握ってアフロディーテへと頭を下げた。

「……こんなことを言うのは癪だけれどね。君がくれる物ならばあの子は、なんだって喜ぶだろうさ」
「何でも…いや、それでは困るのだ」
「なんでもかんでも人に聞かないで、少しは自分で考えたらどうだい、愚弟!」

ぴしゃり、と言い捨てアフロディーテはティーカップをがちゃんと音を立てソーサに戻す。
ぴしっと高そうなカップにひびが入るが機嫌が一気に急下降しているアフロディーテそれに気が付いていないらしい。
なにが彼の癪に触ったのかはカノンには理解できない。いや、たぶんどの言葉もアフロディーテにはただただ癪に触ったのだろうな、と理解するしかなかった。
しかし、自分の兄でもない男に「愚弟」と称されたのだけはカノンも納得いかなかった。
いくら彼が自分の事を嫌っていようともだ。

「おいおい、アフロディーテ。そりゃあ酷いってなもんじゃねえか?」

しばしの沈黙、そして硬直。
絶対零度ではないが、冷めてきた場の空気を壊すように、不意に声をかけてきたのはデスマスクだった。
そういえばここに来る途中で教皇の間へ行くという彼とすれ違ったなとカノンはぼんやりと思い出した。

「こいつが嫌いなのは分かるけどよ。ちったぁ仲良くしてやれや。あいつのためにさ」
「ふん…君の口からそんな殊勝な言葉が出てくるとはね…。もういい。君たちどっちも消えてくれたまえ。不愉快だから」

言って、手の中に出現させた毒薔薇を投げる仕草をするアフロディーテにカノンとデスマスク二人は慌てて薔薇園を抜け出るとそのまま一気に双魚宮の入口を目指した。
アフロディーテという男は怒らせると怖い…というのもまた周知の事実だ。
新参者のカノンだってその事を痛いほどに知っているのだからデスマスクなどは骨の髄に染みわたるほど理解している。
振り返ることなく双魚宮を飛び出た二人はそのまま宝瓶宮とを繋ぐ階段の途中で足を止めるとやれやれと肩を竦めるのだった。


「あいつに何聞いてたんだ? 尋常じゃないぷっつんぶりだったぞ」
「何って…まあ、なんだ。相談の類さ」
「相談? なんの?」
「あー……まあ、近々やるアレのな」
「…なる」

その言葉で理解してくれたのだろう。
デスマスクは一つ頷くと「アフロディーテはあいつの過保護でめろめろだからな」と呟くと苦笑顔をカノンへと向けた。

「アフロディーテの言葉も、まあ…一理あるが。とにかく双児宮に戻るんだろ? 俺も一緒に帰るわ」

口角をゆるりと持ち上げ言うデスマスクにカノンも同じく口の端を緩める。
傍若無人だがデスマスクという男が面倒見のいい男だと気づいたのはここにきて結構すぐの事だ。
なんだかんだと世話を焼いてくれて、なんだかんだと相談にも乗ってくれる。
この聖域で誰よりも愛するあの男以外でカノンが友と呼べる男は今のところデスマスクくらいだったから彼が差し出してくれる助け舟はカノンにはありがたいものだった。
ただ…

「お前に付き合うの、結構暇をつぶせそうだし」
「暇つぶしっていうな」

人をおもちゃの様にからかう、そんなところはやはりカノンにはなかなか慣れたものではなかった。



【まずは薔薇の園から】



「まったく…ミロの喜ぶものなんて、あの男ならいくらでも持っていように。あー!もう、馬鹿馬鹿しい!ミロもどうしてあんな男を選んだのだろうね!理解に苦しむよ。そう思わないかね、瞬!」
「…は、はは(どうして僕、付き合わされているのだろう…)」
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