つれづれとミロ受けなお話ポチポチ書いてます。
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「幼い頃…サガは目の中に星を入れているのだと思っていたんだ」
「星?」
気だるげで掠れた声。
その声に笑みを含ませながら言うミロにカノンはぼんやりと夢と現の間をさまよわせていた意識を覚醒させ、ミロへと視線を移した。
ベッドサイドの時計は3時ちょっとすぎをさしている。
日の出にはまだ少し遠い。
「まだ本当に小さい頃…サガが居なくなる前だから俺が5歳くらいの頃かな。サガの目はすごくキラキラとしていて、だから大人になったら俺もあんな風にキラキラした人間になりたいなって、思ったもんだ」
今思えば、サガをいつも見上げていたから太陽の光と相まってキラキラ輝いて見えたのかもしれないがな、と続けてミロはぱちぱちと目を瞬かせた。
青い瞳を縁取るのまつ毛は長い。
そんなミロの仕草を見つめながら、カノンはそんなミロの幼い頃をそっと想像してみた。
幼い頃のミロはきっとどんぐりの様な大きな眼でいろんなものを見ては楽しそうにはしゃぎまわっていたに違いない。
キラキラと、大きな瞳を輝かせて。
「俺には…お前の瞳の方がよほど綺麗にきらきらしていると思うがな」
伸ばした手でミロの前髪をかきわけて、きょとんとこちらを見つめ返してくるミロに、口元が自然と緩んだ。
青い瞳は晴れた日の空の様だとカノンは思う。
暗いこの部屋ではわからないが、陽の下で見るミロの瞳は何処までも澄んでいて清らかで…キラキラと輝いていて。
いつも気を許せば視線がそれを追いかけてしまうほどだ。
「お前の瞳は曇りなく、美しいよ。サガの様になったら、それはもう血走った恐ろしい目になっただろうからな!ならなくてよかった!」
「なんだ、それは」
軽く肩を竦めて言って見せるカノンに、くすくすと、ミロは笑い声をあげながら眦に浮かんだ涙を指で拭い取ると「サガに聞かれたら殴られるぞ」と困った風に続ける。
「だって、本当の事だろう?」と答えるカノンにさらにミロは笑いが止まらない。
「そういうカノンの瞳も、キラキラとしているけどな」
「俺?」
「ああ。海面を太陽が反射するように、キラキラと輝いているよ。俺はそんなカノンの瞳も大好きなんだ」
ひとしきり笑い終えたミロはそう言ってカノンに手を伸ばすとくっと体も一緒に伸ばし、カノンの瞼の上に口づけた。
「カノンは…海みたいだ」
「磯臭い、ってことではないよな?」
「違うよ。とても綺麗で…すごく、落ち着く。一緒に居ると心が温かくなるんだ」
そのまま口づけを鼻の先におろし、頬にうつし…両手を頬に当て見つめてくるミロにカノンは目を細めた。
「ミロも、太陽の様だ。キラキラと美しくて…一緒に居ると穏やかな気持ちになれる。優しい気持ちにな」
夜明けにはまだ遠い時間。
けれど一番愛している「温もり」も「キラキラ」もこの腕の中にちゃんとある。
「ふふ…臭いセリフだなぁ」
「うるさい。お前には言われたくない」
腕の中でくすくすとまた笑い出すミロの鼻の頭をかぷりと甘く噛み、柔らかな髪にカノンはそっと指を絡めた。
暖かな太陽は暗い海の底も明るく照らしてくれる。
ミロを抱きしめていると本当に、そう思うのだ。
そう、感じるのだ。
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