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つれづれとミロ受けなお話ポチポチ書いてます。
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カノミロ前提でサガミロ。
ただのネタを書いてみようシリーズですがカニバリズム表現があるのでお気をつけください。



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くちゃりくちゃりと何か弾力のあるものを噛み締める音が部屋に響く。
ついであがるのは荒い呼気とぐじゅぐじゅと水が泡立つような音だ。

「すまない…すまないっ」

嗚咽を堪えたような声は酷く悲痛で、しかしどことなく昂揚していて、ぼんやりとその声の主を見上げていたミロは薄れゆく意識の中で口元に小さな笑みを乗せ、その男に手を伸ばすとそうっと血に塗れた硬い頬を撫でるのだった。

「謝るな…お前は悪くない」

耳元を擽る獣のような呼吸音。
そして鼻の先をつんと指す錆びた鉄の匂い。
ぶちり、と筋が噛み切られるような音が、ミロがそのとき最期に聞いた音だった。



明け方の聖域。
遠く、東の空が淡く青で染められていく時刻にカノンは天蠍宮の前を思い悩んだ表情でうろうろとしていた。
予定より早く、つい今しがた海界より帰還したカノンは疲労こそあったものの、早くミロの顔を見たくて自宮を通り過ぎ、はるか上の天蠍宮にまで足を伸ばしたのだ。
ミロと恋人と呼べる関係になってまだ日も浅い。
だから、ではないがミロはカノンにとって目に入れても痛くないほど愛おしい存在で、そして何よりも大切な存在であった。
そんな愛しい恋人の治める天蠍宮まで登りつめ、いざ足を踏み入れようとしたときカノンだったのだが、しかし彼が足を踏み入れるのに躊躇わせるものがあったのだ。
それは気配だ。
天蠍宮内から感じる巨大な小宇宙。それはミロのものではない。
馴染み深いそれは自分の小宇宙に瓜二つのものだったのだ。

「サガ…?」

どうしてこんな明け方に二人が一緒にいる…?
心の奥からこみ上げてくるどろりとした感情にカノンはいや、と首を降った。
ミロが「寂しいから」と恋人以外を受け入れるようなふしだらな人間でないことは短い付き合いだがカノンにもよく分かっていることだった。
サガだって、自分の弟の恋人と分かってミロに手を出すような愚かな男ではない。
頭ではそう理解しながらもそれでもカノンは胸の奥の不安を拭いきれず、おそるおそる天蠍宮へ足を踏み…いれようとしたところで不意にどこか間の抜けた声に呼び止められるのだった。

「カノン…?」
「ミロ」

いつの間に近くに来ていたのか、パジャマの上にガウンを羽織った姿でこちらを見やり立ち尽くす彼にカノンは目を細めた。

「ただいま、ミロ」
「お…おかえり、カノン。予定より早かったのだな」

やや焦った風な態度だったが、ミロはそう言って破願すると「お疲れ様」とカノンに微笑みかけてくれた。
その笑顔にカノンは今までの全ての疲れも、それからもやもやも吹き飛んでしまったような温かく軽やかな感情を覚えるのだった。
海龍と名乗っていた時代には感じたことのないその感情。
それを惜しみなく与えてくれたのはミロだ。

「ミロ」
「っ、今はだめだ」

こみ上げる愛おしさのままにミロに手を伸ばしその頬に触れようとした瞬間、しかしその手はぴしゃりとミロに撥ね退けられた。
拒絶されたカノン自身も驚きで目を丸めたがミロは無意識だったのだろう、その驚きはカノンよりもっと大きかった。

「ミロ…?」
「す、すまない…今は、そんな気分じゃ」
「……サガに触れられた感触を忘れたくない、からか?」
「!」

カノンの言葉にミロは弾かれるように顔を上げた。
その表情はどこか疲れ果てている風にも見えた。

「何を…」
「サガがいるのだろう?小宇宙で分かる…。お前は、俺でなくとも同じ顔ならサガでもいい…ということか」

その言葉にミロは「違う!」と声を張り上げた。その声に怒りや焦りはない。そこに含まれるのは痛ましいほどの悲痛な響きだ。

「そうじゃない…カノン、俺は」
「では、どういう……っ」

ミロが羽織るガウンを掴み、思い切り自分にミロの体を引き寄せたカノンはミロの体を覗き込み…そして絶句した。
最初カノンのその態度の意味が分からなかったミロだったがその視線の先に気づきカノンの腕から逃げようと身をねじった。

「ミロっ」
「ちが…これは、なんでもない」

しかしそんな抵抗などカノンが許そうはずもなかった。
カノンはミロのガウンを両側に勢い良く開くと寝巻きの襟首を掴んだ。
ぐっしょりと赤黒く濡れた襟首を。
その赤黒い色彩には見覚えがある・
血だ…それももう何時間か経過した酸素に触れた血の跡。

「サガに…何をされた?」
「カノン、には関係ない…」
「…お前が話さないのなら、あちらに聞くまでだ!」
「まっ…カノン、だめだ!」

ミロの襟から手を離し、カノンは宮内へと足早に踏み入った。
それをミロも慌てて止めようと追うも、カノンの歩みは一切止まる気配はなかった。
天蠍宮の居住スペース。
何度か泊まった事のある寝室に…サガは横たわって眠っていた。
しかし、カノンが一番驚いたのはそこではなかった。

「なん…だ、これは」

リビング辺りから確かにその香りはなんとなく漂っていた。
鉄のさびる匂い。
しかしカノンとてこれは予想外だった。
ベッドを真っ赤に染めるこの大量の赤黒い色彩だけは。

「ミロ…説明してくれ…頼むから」

ベッドに片膝をのりあげサガの口元を確認すれば穏やかな呼吸が確認できた。
目立った外傷もないし…これはサガの血ではないのだろう。
では、これはミロの…?と思ったがこれだけ出血していればミロだってまともに立っていられるわけもない。
寝室の入口に立ち尽くすミロを振り返ろうと体制を変えようとしたカノンはふと、指先になにかにゅるりと生暖かいものに触れそれを無意識に摘み上げた。
真っ赤な血に塗れたそれ。
それは…肉片だった。

「っ!!」
「…話せば、長くなる…」

言葉にならない叫びを上げるカノンに、ミロは近づくとその肉片を手の中から奪い取りゴミ箱の中へと放り込む。
その淡々とした行動にカノンはただただ呼吸すら忘れミロを見つめることしかできなかった。


「簡潔に言うなら…俺はサガの生餌になったんだ」

部屋の中に充満する鉄の錆びたにおいと饐えた香りは朝の爽やかな空気には不似合いで、カノンは「これはきっと夢なのだ」とそう思うしかなかった。






サガ…ミロが幼い頃から彼に淡い思慕を抱いていた。聖戦後、ミロが双子の弟であるカノンと結ばれたことを心から祝福していた。そんなある日、ミロと友に訪れた任務地で敵の攻撃である「呪い」を受けてしまう。その呪いによってサガはミロの血肉を口にしないと死んでしまう体になってしまった。二人に対し罪悪感を抱きながらもミロに促されるままに彼の体を貪っている。ミロを食べる際は、無意識に痛覚を快楽へと返す小宇宙を発しているらしく、痛みをミロに与えてないことだけが唯一、サガの救いであったりする。


ミロ…聖戦後、空虚だった心をカノンによって支えられ、励まされ彼に思慕を抱く。相思相愛だったこともありカノンと恋人同士になる。サガが呪われてから、サガに血肉を貪られることになってしまった。一番最初にサガに食われたときに一度死んだのだがアテナとハーデスの計らいによって(冥界との密約で人間界にあってはならない呪いだったため、アテナがハーデスを強く責め立てたらしい)蘇り、サガの呪いが解けるまで不死の体となった。


カノン…ミロに許され、居場所を与えられたことに多大な恩義とそして思慕の念を抱き結果、結ばれた。サガの呪いのことをしり、そして貪られるミロをなんとか救いたいのだがサガを見捨てることも出来ず呪いを解く方法も見つけられず途方にくれている。
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