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次に書きたい探偵パロのさわり的な…書きなぐり文



拍手[5回]


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「マニ…おなかすいた」

カノンの病院から帰ってきて、それから炊事場に立ってコーヒー豆を炒っていたら背後からかけられたカルディアの声。
ついで、べったりと背中に張り付いてくる彼に、マニゴルドは鍋を振る手を止めてこてんと肩に乗せてきたカルディアの頭を撫でた。
すると甘えるようにすりよってくるその仕草がなんともマニゴルドの胸をきゅんと疼かせる。
思わず緩みそうになる口を引き締めれば、そんなことにまったく気づく様子もなくカルディアはもう一度「腹減った」と呟くのだった。

「あっちでたらふく食ったんじゃねえのか?」
「食べたけど…食い足りねぇ」
「ったく…お前は食いすぎだ」

言いながらもマニゴルドはカルディア用のホットミルクを用意するために冷蔵庫からミルクを取り出し、それをカップに注いでオーブンレンジの中へと入れた。
ミルクにはきちんと一さじはちみつを垂らすのを忘れずに。
カルディアはまだ、マニゴルドに引っ付いたままだった。
いつもなら用件を言うだけ言ってすぐにソファの上に寝そべるのに、今日は一体どういう風の吹き回しだろう。
いぶかしむマニゴルドは、ふと…カルディアがぽつりと何かを呟くのを気逃さなかった。
たぶん、カルディアは無意識なのだろうが、その呟きはマニゴルドの胸を締め付けるには充分すぎるものだったのだ。

「なめんなよ。カルディア…お前を一人にはしねえって、言ってるだろうが」
「……マニ…」


マニゴルドの言葉に、カルディアは弱弱しい声を振り絞った。



遡ることつい、数分前の事だ。
何時もどおりカノンの病院でたらふくミロの手作り料理を振舞われた二人は軽い足取りで事務所への帰り道を歩いていた。
丁度車検で車は預けていたので久々の徒歩で。
寒さが身に染みる季節だったが二人、たわいもない話をしながら歩くのはなんだか楽しかった。
「今日はなにが楽しかった、だの「なにが美味しかった」だの。
くるくると変わるカルディアの表情を見るのは本当に…楽しかった。
その、男に会うまでは本当に、楽しかったのだ。

「マニ…もしも、もしも俺の能力が暴走したら…俺が、止まらなくなったらさ、その時は俺は…にゅっ」
「馬鹿なことを言ってるんじゃない!それ以上言ったら流石に俺もきれるぞ」

だん、と炒りかけのコーヒー豆を流しに捨て、マニゴルドはカルディアの方へと振り返った。
その表情は、怒りに満ちていた。
その表情に、びくり、とカルディアの肩が震える。

「だって…俺、」
「いいから…お前は黙って俺の傍に居ろ。安心して…分かったな?」

怯え、泣き出しそうなカルディアは苦手だ。
彼にはいつだってふてぶてしく笑っていてもらいたいし、幸せで居てもらいたい。
それが、自分に「生きる意味」を与えてくれた彼への「恩返し」だとマニゴルドは思っていたし、そしてひとえに、「愛」ゆえに。

「うん…ごめん、マニ。もう…言わない」
「…いいこだ」

まるで迷子の子供のような、そんな頼りなげな彼をマニゴルドは抱きしめた。
力強く腕の中に閉じ込め、離さない様にとしっかりと。









『白づくめの男?名前は…メフィスト…聞いたことないな』

深夜、カルディアを眠らせた後マニゴルドは一人事務所に降りて窓際に立っていた。
電話の相手はカノンだ。

「そうか…あの男はそう名乗ったんだ。そして…」
『お前の能力は…世界を救いもするし、破壊もするだろう…そう、言ったのか』
「ああ。お陰でカルディアは久しく情緒不安定だよ」

まるでこの事務所に来た当初と同じ怯えようだった。
片時もマニゴルドから離れようとせず、物音にもびくりと肩を震わせて。
痛々しくて、マニゴルドは酷く胸が痛んだ。
そして、こんな風になったきっかけを与えたあの男を…マニゴルドはどうしても正体をつきとめたかった。
どうして、あんな事を、と吐かせるために。

『…能力を持った人間は最近徐々に増えつつある。ある科学者は能力とは「人間の進化」だと言ったそうだが』
「馬鹿な。あれは人間の煩悩だ。進化じゃない」
『お前ならそういうと思ったぜ。けどな…こっちも好きで身につけたわけじゃないんだ。能力ってのはな。大きすぎる力は時に制す事が難しくなる…人としての資質が問われる瞬間、だな』
「カルディアは…絶対に暴走させない」

受話器を握り締め、マニゴルドは部屋の隅に飾られたボルサリーノを見やった。
あの帽子に、昔マニゴルドは誓ったのだ。
絶対にカルディアを守り抜く、と。その為に「命を懸ける」のだと。

『探偵とは命の限り真実を追い求め、ピンチのときほどふてぶてしく笑え。そして、依頼人を絶対に守りぬけ…先生はそう言ってたな』
「ああ」

まさかカノンも「彼」の事を思い出していたとは思わず、少しばかりマニゴルドは驚いたが、それでもその言葉にうっすらと口もとに笑みを浮かべた。
「彼」は…この事務所の初代所長であるセージはマニゴルドの師であり、またカノンにとっても「恩人」であった。
彼が姿を消してもう4年が経つ。
部屋の隅のボルサリーノの持ち主は今だ帰ってくる気配はない。


「大丈夫だ…俺は絶対にあいつを守りぬく。なにをやっても、だ。その為に…協力を頼みたい」
『ふ…大船にのったつもりで居ろ』

ぷつり、と途切れた受話器を手にしたままマニゴルドはそっと、窓から外を見下ろした。
この町のどこかにあの男はいるのだろうか。
一体あの男が何を知っていて…カルディアに何をしようとしているのかは分からないが…危害を加えるつもりなら容赦はしない。

静かに受話器を戻してマニゴルドは自室へと向かうために階段を上った。
胸の奥にひそかに…焔を揺らめかせて。













「運命とはどこまで言っても逃れられない枠の中の世界のことだ。どんな道を選ぼうとそれはあらかじめ決められているのさ。さぁさぁ、君たちの楽しい喜劇をしばし静観しようかな」

白づくめの男はそういって…笑いました。
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